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 貴方のお友達が、私の言葉をひとつだけ貴方に伝えてくれたその日から、貴方は毎日私の元に来て下さいました。  いつもなら、一番高く伸ばした枝の先に咲く花が散れば、貴方はどこかに行ってしまいます。  けれど、今年は違いました。  花が散っても、葉が増えても、それが濃く色づいても、葉すら散って枝だけになっても、貴方はずっと、私の側にいて下さいました。  夏には雷で枝が焼かれ、秋にはとくにもろくなっていた幹が強い風に吹かれて落ちて飛んでいきました。冬になり、丘にも私にも雪が積もりました。その重みに耐えきれず、私は音を立てて倒れました。  それでも貴方は、側にいて下さいました。  その日々は、今までの幾千もの春とはどこか違っていました。  初めて、貴方と出会えたような気がしたのです。  幸せでした。とても、幸せでした。  けれど、それを伝えることは叶いません。  幾千もの春と幾百もの日々。貴方がいてくれた時間。  感謝も尊敬も幸福も、何一つ伝えることができませんでした。  それでも貴方は、私の側にいて下さいました。  ありがとう。私は貴方を愛しています。  さようなら。願わくば、貴方の行く道が幸福であらんことを。  いいえ、本音を言ってもいいのなら貴方とお話してみたかった。  貴方に、愛していますと、伝えたかった。  
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