蜘蛛の糸カーディガン

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 それから3年の月日が流れた。  木箱に戻されたカーディガンは、あれから姿を見せていない。きっと今でも、押入れの中で大切に保管されているんだろう。  あたしはすっかり、その存在を忘れていた。  夏休みに入って間もなく。お母さんがお父さんと夫婦水入らずの旅行に出かけて、初めてあたしだけのお留守番を迎えた。  テレビ観放題、ゲームし放題、お菓子食べ放題。一通り自由気ままな時間を過ごしてたら、遊び疲れちゃって。2階にある自分の部屋に戻って、その夜はすぐに寝た。  ──真夜中。ふとトイレに行きたくなって、寝ぼけながら一階に続く階段を降りて行くと。
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