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「期待してるよ。だから、昨日、家を出たというのに、昨日は、カバンの中を探さなかったんだ。そして、いよいよ今日がバレンタインデーだから、ご対面の日だと思って探したら・・・ないんだ。」
聡介は、有名なお菓子メーカーに勤務している。だから、バレンタインデーは、イベントで、毎年前日からあちこちに出張していて、家にいない。
沙織は、毎年、そっと旅行カバンの中にチョコを隠していた。
旅先で、チョコを見つけてほっこりしてくれたらいいなぁなんて思いながら。
お菓子メーカーの社員なので、チョコ選びも大変だった。ライバル会社のチョコを買うわけにはいかず、かと言って、見慣れた聡介の会社のチョコを渡すわけにもいかない。自分で作ったり、外国製のチョコや有名なパティシエのチョコなど、考えるだけで大変だった。
聡介は、結婚前、チョコを渡すと満面の笑顔でありがとうと言ってくれていた。でも、結婚してからは、沙織があれほど、色々考えて用意したのに、出張から帰るとお礼の言葉どころか、何事もなかったかのように一切チョコについて触れない。
沙織は、なんかバカらしくなってきた。
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