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「俺はあっちの部屋で仕事するから、君はテレビ見てもいいし、お腹空いてるならルームサービス頼んでもいいよ」
そう言うと月野瀬はテーブルの上にコーヒーを置いて扉の向こうに消えていった。仕事をするならテレビは邪魔だろうと思い、ルームサービスのメニュー表を開いた。
えっと、桁間違えてませんか?
恐ろしい金額だったので、すぐにメニュー表を閉じた。
結婚を前提に付き合っていた彼氏が浮気をしていたと言われても動揺せず、メニューの金額に動揺している私は一体何なのだろう。
信哉とは好きだったから付き合っていたはずなのに、心のどこかでほっとしている。
スマホに保存している彼との思い出の写真を一つ一つ消去していく。ほとんど信哉が撮って送ってくれた写真。二人の思い出を収めたいと事あるごとに写真を撮っていた信哉だが、一体どんな気持ちで撮って送ってくれていたのだろうか。消去するたびに、寂しさがこみあげてきた。この半年間って何だったのだろう。半年で彼の悪事を知ったのだから良かったんだと言い聞かせて涙を拭った。
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