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「そんなことない。不安になって1度だけ、1度だけ彼と――」
月野瀬は私に見せた証拠写真をテーブルの上にばら撒いた。一度とは言えない数々の写真を目にして沙羅と信哉は固まった。
「沙羅、もう嘘をつく必要はないよ。俺は傷ついたけど、沙羅を責めるつもりはない。里桜さんと悩みを共有していくうちに、俺らも気持ちが変わっていったんだ。浮気をさせてしまった原因を考えて反省しようとするお互いを見ているうちに、浮気をしてしまう相手より、こんな風に相手を思い自分を省みることができる人の方が俺らには合っているんだと思えるようになった。そして、気持ちが抑えられなくなったんだ。だからケジメをつけるために今日二人を呼んだんだ」
月野瀬は私の気持ちを知っているかのように語った。
「何言っているの?」
「俺は里桜さんとの時間をこれから大切にしようと思う。沙羅が選んだ彼もきっといい人だと思うし、結婚するには彼のような人がいいと思うよ」
「そんなの駄目よ。周りに私は結婚するって報告しているのよ」
「だから、沙羅は彼と婚約して、俺は里桜さんと婚約する。それで丸く収まるんじゃないかな?」
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