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「お、俺は……沙羅ちゃんがいいなら……そうしたい」
え? こんなにあっさりと私は捨てられるのですか? そうか。そもそも信哉は私より沙羅が好きだったんだ。思った以上に心がえぐられる。
「……そうね。晴翔さんから言ってくれて良かった。実は私も女を抱けない人と結婚なんて無理だと思っていたの。そうしましょう。父には私から言っておきます」
敬語になったということは怒りを抑えているのか、踏ん切りがついたから他人だと言いたいのか分からないが、沙羅は信哉を連れて部屋を出ていった。
「なんかごめん。冴木さんをいろんな意味で傷つけたみたい」
「はい。心臓をごっそりえぐられた感じです」
「だよな。あの男、クズだな」
「いえ。私ってこんなにも愛されていなかったんだなって思って」
「……ごめん」
「大丈夫です。時間があれば次第に癒えるはずです。それよりも1つ気になったのですが、月野瀬さんは女性を抱けないって言われていましたが、もしかして恋愛対象は男性ですか? それであれば、はっきり言えば諦めたんじゃないですか?」
「ああ、それは違う」
「……あ、そっちですか。失礼しました」
「そっちってなんだ?」
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