気になる女 *月野瀬side*

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気になる女 *月野瀬side*

俺はモテる。だが、それは身なりを整え、お金があって、地位があるからこそモテるのだ。 過去に趣味で開発したゲームアプリが話題を呼び、沢山の大人たちが声をかけてきた。単なるITオタクだった俺は何もわからず、最も人のよさそうな人と手を組み会社を設立したが、数年で俺が開発したゲームは何故か人のものになってしまった。 その時のお金で数年間、細々と暮らしていた。一生人を信じないと決め一人で好きな事だけやって生きていたある日、投資家の男が再び会社を作らないかと声をかけてきた。 昔は単なる俺のゲーム欲しさに近寄ってきた人たちの中の一人で年齢は俺より少し下だったから金持ち息子の戯言だと思っていたが、落ちぶれてからも俺をずっと気にかけてくれていた。 風呂なしアパートに住む俺を彼は気晴らしにと旅行に連れて行き、人を信用できないという俺に一度普通の企業で働いてみればと就職先を紹介してくれた。 すぐに辞めようと思っていたがエンジニアとして働き始めると仲間がいて発想が豊かになり、理不尽な要求に応えながら仲間と絆を深めていくことが楽しかった。全ての人が俺を騙して金を得ようとするだけではないことが良く分かった。俺が人を知らな過ぎた。人に興味がなさ過ぎたのだ。
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