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調査によると有名大学を卒業した後、就職したのはブラック企業で有名な3流企業。1年で退職し、その後の転職先はゲームソフトの会社だった。昔は何作かヒットさせたものの、この10年ヒットと呼べる代物はない。彼女の学歴ならそれ相当の就職先もあったはずだが何故こんな会社を選んだのか。
俺はその会社が最近出した商品に目を付けたわけだが、彼女がそんな先見の明を持っているとは思えない。
注目した商品は宣伝力の乏しさとキャラデザインの悪さで全く売れていないがそこは俺の会社が何とかできる。社長に話をしに行ったら驚いたことに会社を社員ごと売りたいと言われた。社員は希望者全員雇用継続を前提として交渉が成立した。こちらが指名した人材以外で残った社員は正直不要な人材だった。
冴木里桜も不要な人材の一人だ。彼女もきっと会社になじめず1年以内に辞めると思っていた。昔ながらの日本的な会社と違って実力主義のこの会社では会社ごっこは通用しない。受け身で生き残っていけるほどこの会社は優しくない。だが、先週彼女に出会って少し考えが変わった。
もしかすると彼女は実力を発揮していない、発揮する場所がなかったのかもしれない。
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