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移動した先はとあるBar。入り口にclosedと書かれてあったので貸し切っているのだろうか。
「今日呼んだのは冴木さんの婚約者のことだ」
「はい、リスト……ラ。え? 今なんと?」
「リストラ? いや、リストラする気はない。リストラせずとも勝手に辞めていくだろうし。そんなことより、冴木さんの婚約者の事だ」
「はあ……」
マッチングアプリで知り合った男性と半年前から結婚を前提にお付き合いをしている。近々お互いの両親に挨拶に行こうと日程まで決めていた。
「彼がどうかしましたか?」
「浮気している」
彼が浮気をしていることをわざわざ調べたのか? 社員の素行調査をする会社があると聞いたことはあるが、彼氏まで調査されるとは。しかも浮気って……
「だよな。驚くよな」
「いえ、これは呆れ顔です。なんならそっとして置いて欲しかったです」
「婚約者が浮気しているんだぞ?」
「知らぬが仏って言葉知ってますか?」
「あはは。そこまで冷血とは。だったら話が早い。その浮気相手は俺の婚約者なんだ」
「え? 月野瀬社長の婚約者?」
「そこは驚くのか。まあいい」
月野瀬はそう言うとおもむろにカウンターの上に大量の写真をばらまいた。確かに私の彼氏が芸能人並みの可愛い女性と腕を組んだり、抱きしめ合ったり、キスをしたりしている写真だ。
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