社長室で秘密の甘いキス

婚約者交換

「やっぱり実際見るとショックだよな。ごめん。俺のせいだ」

「いや……。ん？　なんで月野瀬社長のせいなんですか？」

「いや、実は……」

月野瀬の話によると、1年前、取引先の専務から娘、沙羅を紹介され、半年間沙羅からの猛アタックと彼女の父親の押しに負けて月野瀬は彼女と付き合うことになったのだが、同時に婚約させられたそうだ。

結婚する気のなかった月野瀬はやんわりと断ったようだが聞き入れられず、頭を悩ませていた。そこで月野瀬が目を付けたのが私の彼氏、信哉だった。

信哉と沙羅は元々大学の知り合いだったらしいが、当時恋愛関係だったわけではない。信哉は高学歴の高収入というスペックを得て元々女好きだった性格が社会人になって爆発したそうだ。そして、私と結婚を前提に付き合い始めた頃、彼は複数人の女性と同時進行で付き合っていたそうだ。

そんな男ならと月野瀬は、沙羅と信哉に偶然の再会というシチュエーションを用意した。学生時代はうぶだった信哉が女性に慣れ、親しみやすくなっていることに沙羅は驚いたが、月野瀬の事を相談していくうちに体の関係を持つようになったというわけだ。