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「あの、聞いても理解できないんですが、それって私にメリットありますか?」
「浮気性の相手をギャフンと言わせることができる。俺ならあいつより100万倍スペックがいい。隣の庭は青く見えるもんだ。こんな男に見初められるとは、逃がした魚は大きかったと思うだろう」
「どれだけ自信過剰なんですか?」
「俺の顔、タイプじゃないか?」
悔しいほどのイケメンですとは言えないので、ここはバカかお前的な顔をしながら冷静に話を進めよう。
「別にいいです。ギャフンと言わせたところでお金にもなりませんし」
「金か。それなら時給1万でどうだ? 4人で会っている間ただ横にいるだけで1万円。悪い話じゃないだろう」
ただ横にいるだけで1万円もらえるなんてなんともありがたいお話。どうせ信哉と結婚しても私の欲しかったものは手に入らない。
両親への挨拶もまだな上に婚約指輪もまだもらっていない今の時点で婚約破棄が成立するかも分からない。今後の為を思うと月野瀬と良好な関係を築いた方がいいだろう。リストラがないなら意地でも仕事を続けてやる。
「1万円……私の不利にならないことであればお受けいたしましょう」
「よし、じゃあ黙って俺について来い」
「え? 今からですか?」
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