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眠れない夜を過ごし、朝を迎えた。
そっと起き出し、身支度を整えてからリビングに向かう。
ソファーには桑野が寝ていた。
陽子はほっとして、朝食の準備を始めた。
陽子と同様眠れない夜を過ごした桑野だったが、目を閉じたまま陽子の動きを感じていた。
そして、うっすらと目を開けた。
髪を軽く束ねた陽子の後ろ姿が目に入った。
白い首筋におくれ毛が絡み、きれいなうなじだった。
陽子が振り向き、目ざめている桑野に気づくと、声をかける。
「おはようございます。
お酒は抜けました? 」
「あぁ、おかげさまで」
「コーヒー淹れましょうか? 」
「あぁ、頼むよ」
何事もなかったかのように声をかけてくれる陽子に、桑野は救われた思いだった。
朝食を終え、陽子は桑野をマンションまで送ると言う。
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