-鞘を求めて-

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36 工房は立派なもので、広い工房内には所狭しと武具がこれでもか、と言わんばかりに並べられていた。 「何かお探しか?」 声をかけてきたのは見るからに工房長といった感じの、威厳のある男だった。この人物に聞けば間違いないだろうと、貴方はフランベルジュを見せてみるのだった。 「ふむ……これ、はっ!?」 工房長? はフランベルジュを目にして暫くすると固まった。そして後ろ向きに、 「おいっ! 野郎共! 皆来やがれ!」 と、工房の奥へと声を掛けたのだった。 「お前さん、こりゃあ魔剣だ。どうしなすった? ……あいや、それを聞くのは野暮だな。剥き身の刀身だけって事ぁ、鞘が無ぇんだな?」 あっさり目的を看破する工房長。 「おいっ! うちで一番良い鞘持って来い! 売り物じゃねえぞ!? 最高の奴だ!」 そうして集められた男達がアレでもない、コレでもない……と、小一時間ほど騒いでいただろうか。遂に最高の鞘と思しき物を持って、貴方の前に差し出した。 「魔剣に選んで貰えるなんざ鍛冶屋冥利に尽きるってもんよ。さ、早速試してくれい」 促されるまま、職人達の見守る中、差し出された鞘の中にフランベルジュを納め……。 「「「「「おおおおおお……!」」」」」 ボワァアアンッッ! 突如として鞘に納めたフランベルジュが火を吹いたのだった! ●手傷を負った 今回の手傷が2度目なら→https://estar.jp/novels/25798313/viewer?page=9 そうでないなら→https://estar.jp/novels/25798313/viewer?page=78
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