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「ちょちょちょっ、あんた、何て物を持ち出してんだ! こっちへ! 早く!」
慌てた店主に、半ば引きずられるようにして店の奥へ招かれる。
「全く……こんな物を人目に晒しゃあトラブルになるだろうに。あんた、気を付けなよ? きっと目を付けられてるぜ?」
店主の非難するような視線に思わず首を縦に振る。
「こいつは魔剣の類だな。下手な鞘に納めようもんなら、きっと反発すると思うぜ? ……残念ながらうちにはコレを納めれるような立派な鞘はねえ。鉱山には腕の良い職人も多少居るんだが、作れば飛ぶように売れる現状に満足しちまったろくでもないのが増えててな。正直お薦めできない……が、一人うってつけの人物が居るんだ。俺の師匠を紹介してやるよ」
何でも店主の師匠という人物は鉱山近くに住んで、自ら剣を打っているそうだ。鍛冶の腕は元より、目利きもかなりのものであるらしい。
「少々ひねくれもんでな。掘っ立て小屋の前で飲んだくれてるふりしてる事が多い。そん時は、ノッカーをカン・カ・カンと叩いてやりゃあ良い。小屋に不釣り合いな代物だからすぐ見つかる。もしかしたら師匠の所でも合う鞘は無いかも知れんが、それでも一時凌ぎのもん位は用意してくれるだろうよ」
●カン・カ・カン のノッカーのリズム
鉱山の奥に住む彼の師匠は、掘っ立て小屋のような場所に住んでいるらしい。
「道中気をつけてな」
店主に礼を言って鉱山へと向かう→https://estar.jp/novels/25798313/viewer?page=17
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