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「んだぁ? どこぞの婆ぁの娘か孫か?」
「はっ! どこぞもクソも、本人様だよ! やぁっと呪いが溶けたのさ! そこな剣士様のお陰でね!」
「………………はぁ!? お前があの婆ぁだってのか!」
「そうともさ! ………………あんたアタシに宝石3つ分、貸しがあんだろ? 忘れてないからね!」
「げっ!? マジで婆ぁでやんの……」
「で、剣士様よ。アイオライト持ってるかい?」
貴方は魔力を喪ったはずのアイオライトを占い師に渡す。
「これと、アタシの呪いを溶かしたこの赤い宝石をくっつけて……」
パアンッッ!
二つの宝石は弾け飛んでしまった。
「~~~~おいこらクソ婆ぁ! こんなことになるなら先に断っとけよ!」
「ケツの穴の小さい爺ぃだねぇ! ほれ見な! 氷が溶けてるだろう?」
「ああ!? ……おお、本当だよ。どれどれ……ああ、これとこれはダメだな。お、こいつができそうだ。よし! 待ってな! 今すぐ作ってやるよ!」
そして一心不乱に、フレイムイーターの棘を、鞘へと加工し始めるのだった。
「じゃ、アタシはもう行くよ」
そう言って去ろうとする占い師に礼を述べると、
「アタシはね、得意の占いをやりながらずっと自分の呪いを解ける力を持った石を探してたのさ。まさか解けるより溶かすだとは思ってなかったけどね。これはそのお礼ってだけのことだよ。だからお礼は言いっこ無しさ」
「けっ。がめつさでできた婆ぁが何殊勝な事言ってやがる。ほれ、お前さんの魔剣の鞘だ。恐らく1日に1回分、フランベルジュの魔力を溜め込めるだろう。それ以上は何かしらで放出してるはずだ」
この鞘があれば安全に魔剣のフランベルジュを持ち運べる上、1日に1回しか使えなかった魔力も最大2回使えることになる。貴方の旅の大きな助けになることだろう。
名工も占い師も、貴方からは何も受け取ることはなかった。貴方はただただ二人に感謝をするのだった。いつか貴方が名を挙げる時が来るとしたら、この二人の恩人の話は避けて通れないだろう。次はどんな冒険が待っているのだろうか……。
TrueEnd→https://estar.jp/novels/25798313/viewer?page=97
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