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老人は、最初に見かけた時に寝そべっていた掘っ立て小屋の中に入っていった。
「バカ弟子共には偉そうなことを言ったが、そのフランベルジュは恐らく儂の作った鞘でも納めきらぬ魔剣であろう」
そう口にする老人は、心なしか少しばかり悔しそうに見えた。
「ほれ、これに納めてみい。納めたら距離を取るんじゃぞ?」
貴方は言われるままにフランベルジュを老人の差し出した鞘に納め、さっと距離を取る。
「ふむ、燃え上がったりはせんようだな。多少は儂の作った鞘を気に入ってくれたようだ」
貴方は礼を言おうと一歩前に出るも、老人が掌を貴方に向けて制する。
「一応はその剣を納めておけるじゃろうが、それも何時まで持つかは分からん。そこでお主はちゃんとその剣を納める鞘を手に入れる必要がある。鉱山の前を抜けて西に行ったすぐの所に岩場が見える。そのど真ん中辺りに、洞窟が口を開いてやがる。知る奴は誰も寄り付かねえ、ちっとばかりやばい場所だ」
貴方がごくりと喉を鳴らすと、
「最奥にはフレイムイーターっつー、炎や熱を貯めこむ針を持ったヤマアラシみてえのが住んでやがる。そいつを打ち倒して一番立派な針を鞘にすると良い」
火を喰らうヤマアラシか。
「この剣も一日に一度位は炎を放射する事ができるはずだったが、先程暴発させちまってるからな」
フランベルジュの魔力を使えば、冒険中一度だけ戦闘を経ずに勝利できるが、今回は使えない。
「ま、使えたとしても相手次第だがな。鞘になる針を手に入れたら戻ってこい。それが儂への報酬だ」
貴方は名工の老人に礼を言うと、鞘となる針を手に入れるべく、岩山へと向かうのだった。
掘っ立て小屋を出る→https://estar.jp/novels/25798313/viewer?page=53
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