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真唯は間宮と一緒に戸田に連れられて、六本木ヒルズを出て『ベリー』という名の洋風居酒屋に入った。
「ヒルズタウンで食事かと思っていたのに」
真唯は遠慮なく不満を口にした。
「お前、ヒルズで食事して払えるのか?」
「えっ、奢りじゃないんですか?」
「俺は彼女の誕生日やクリスマス以外に奢らない。まあ先輩だから多少多めに払うかもしれないが、基本は割り勘だ」
「さっき、歓迎会って」
「歓迎会兼教育だから名目上相殺だ」
「なーんだ。じゃあ、たくさん教わらなきゃ」
真唯と戸田の会話を間宮が呆れたように見ている。
お疲れさまと言って乾杯が終わると、真唯は早速質問を切り出した。
「今日の私の初仕事ですが、どうすれば良かったのですか?」
「なんだ、自己紹介の前に早速仕事の話か」
「歓迎会相殺の分、さっさと教えてもらわないといけませんから」
「結論からいくと、秋山は作業を始める前に間宮か俺に自分の考えを話して、確認を取るべきだった」
「えー、だったら、最初から教えてくれればいいじゃないですか」
なんて回りくどいんだと、真唯は思った。今日資料の内容を理解するために、費やした時間を返して欲しかった。
当の間宮は、面白そうに真唯の顔を見ながらニヤニヤしている。
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