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「俺、用賀だけど秋山の家はどこ?」
「桜新町です」
「お隣さんか、じゃあ今日は特別にタクシーで帰るか。送って行ってやるよ」
正直、私は酔いが酷くて、タクシーに乗れるのは大歓迎だった。
「大丈夫?」
間宮がなぜか戸田に向けて言った。
「大丈夫だよ。さあ行こう」
戸田にタクシーに乗せられたので、私はリアウィンドから間宮に手を振りながら、一人で駅方向に向かうのを見送った。
「間宮さんはどこに住んでるんですか?」
「池袋の先」
「ふーん」
北の方はあまり行かないのでよく分からない。
戸田が私の髪の毛を触った。
何の意味かよく分からなくて黙って触らせた。
髪の毛をいじられているうちに少し眠く成って来た。
目を瞑ると、顔の前に戸田の顔がかぶさって来て、唇が触れた。
(何?)
真唯はなぜキスされた分からなくて、思わず目を開けた。
目の前に戸田の顔があって、唇は触れたままだ。
その柔らかい感触に、だんだん気持ち良く成って来て、抵抗する気が起きなかった。
ようやく唇が離れると、戸田が耳元で囁いた。
「今日は一緒にいよう」
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