第二話 奪われた唇

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「俺、用賀だけど秋山の家はどこ?」 「桜新町です」 「お隣さんか、じゃあ今日は特別にタクシーで帰るか。送って行ってやるよ」  正直、私は酔いが酷くて、タクシーに乗れるのは大歓迎だった。 「大丈夫?」  間宮がなぜか戸田に向けて言った。 「大丈夫だよ。さあ行こう」  戸田にタクシーに乗せられたので、私はリアウィンドから間宮に手を振りながら、一人で駅方向に向かうのを見送った。 「間宮さんはどこに住んでるんですか?」 「池袋の先」 「ふーん」  北の方はあまり行かないのでよく分からない。  戸田が私の髪の毛を触った。  何の意味かよく分からなくて黙って触らせた。  髪の毛をいじられているうちに少し眠く成って来た。  目を瞑ると、顔の前に戸田の顔がかぶさって来て、唇が触れた。 (何?)  真唯はなぜキスされた分からなくて、思わず目を開けた。  目の前に戸田の顔があって、唇は触れたままだ。  その柔らかい感触に、だんだん気持ち良く成って来て、抵抗する気が起きなかった。  ようやく唇が離れると、戸田が耳元で囁いた。 「今日は一緒にいよう」
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