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第4話 止まらない恋心
利信の帰りが遅い。夕食の支度も終えたので、テレビをつける。画面ではオリンピック開催の是非を大勢で討論していた。もちろん生産性のまったくない議論だ。
ボーっと画面を見ていると、スマホに着信があった。利信かと思ってスマホを手に取ると、ディスプレイには矢野と表示されていた。
矢野信也、真唯より五才年上でつい最近まで恋人だった男。真唯のために離婚したのにバツイチライフが楽しくて、結婚に踏み切らなかった快楽主義者。
真唯の周りには、世間の大人が見ると、顔をしかめるような男がなぜか寄ってくる。周囲に受けがいいのは結婚した利信だけだ。
用件なんて出なくても分かっているので、鳴らしっぱなしで放っておく。結婚式の当日に不倫の誘いをしてくるなんて、やっぱりこいつはどこかおかしい。
鳴り続ける電話の呼び出し音を聞いてるうちに、真唯が出会った最初のだらしない男のことを考え始めていた。
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