第5話 新しいリーダー

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 退社時間になると、戸田から誘われたが、体調が悪いことを理由に断った。別に根に持ってるわけではないが、まだ市原と一緒に歩いていた記憶が生々しいので、酒が入るとつまらないことを口走る可能性がある。  できれば、そういうことはあいまいにして、最後に勝利を得たいので、今日会うことは諦めた。  自宅に帰ってから、インターネットでPWCについて調べてみる。すごい会社だった。世界的に見てもコンサルティングファームとしては指折りの会社だ。こんなところで働いていた人が、どうしてうちなんかに来たのか不思議だった。  案外PWCでは将来のめどが立たなかったのか、それでも竹本さんが直々に引き抜いてくるなんて、やっぱりすごい人なんだろうと思う。  とにかく明日からは一緒に仕事開始だ。私はアシスタントに過ぎないけど、新しい人と仕事への出会いに、期待が高鳴った。  次の日真唯が出社すると、既に新庄は来ていた。まだ始業二時間前である。初日は新庄よりも先に来ようと、がんばったのにやられたと真唯は思った。 「おはようございます」  気を取り直して挨拶する。 「おはよう。なんだ早いねぇ。いつもこんな時間に出社しているの?」 「いえ、いつもは後一時間遅いんですけど、今日はたまたまです」 「そうか、そうだよね。まだオフィスに人も少ないし」 「新庄さんはいつもこんなに早いんですか?」 「いや、全然。まあせいぜい出社時間の三十分前かな」  真唯は一安心した。さすがに毎日この時間に出社するのでは身が持たない。
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