第一話 過去が蘇るとき

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「さあ、仕事をしましょう。まずパソコンを立ち上げて、これがあなたのIDと初期パスワードだから、最初にパスワードを変更してね」  真唯は会社から貸与された真新しいノートパソコンに電源を入れた。これからこのパソコンが真唯の仕事上のパートナーだ。 「パスワード変更しました」  真唯は間宮の次の指示を待つ。 「まずメールをチェックしてみて」  メールを立ち上げると、間宮からメールが来ていた。 「そのメールに添付されているデータは、昨日データーアナリストの三宅さんが、第一興業のWEBサイトのアクセスデータを分析した結果なの。その横のパワポファイルはアカウントプランナーの戸田君が報告用に作った資料だから、そこに分析データを打ち込んで、戸田君にメールバックして」 「はい」  最初からえらく難しい仕事だ。どこのデータを報告資料に打ち込めばいいのか、自分で資料内容を理解して選ばなくてはならない。  終業時間まで四苦八苦してやっとの思いで完成させた。  戸田にメールを送って、全身の力が抜けてぐったりした。 「終わったの?」  間宮が確認して来た。 「はい」 「終わったら、ちゃんと報告してくれる。それから、私が依頼した仕事だから、メールには私のアドレスをCCに入れて」 「分かりました」 「じゃあ、今日はもう時間だから後片付けして帰っていいわ。明日も頑張りましょう」 「はい、ありがとうございました」  何とか無事終わった。初日からハードな仕事だった。  少しばかり達成感を感じながら片付けてると、ノートパソコンを持った男の人が近寄って来た。同年代ぐらいの若い男だった。お洒落なスーツを着ているので、アカウントプランナーだろう。
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