第一話 過去が蘇るとき

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「秋山真唯って誰?」 「私です」 「資料、ありがとう」 「いえ、遅くなって申し訳ありません」 「それはいいけど、資料のこことここと、それから次のページのこの部分に拾って来るデータ間違ってたよ。確認した?」 「申し訳ありません。初めてだったんで」  内心、初めての仕事だ、間違っても仕方ないだろうと思った。  戸田が間宮と顔を見合わせた。 「初めてでも、お客さんは許してくれないよ」  真唯は頭を横殴りにひっぱたかれた感じがした。  そう、これは仕事なんだ。自分はもう学生じゃない。  でも、初めての仕事でいったいどうすれば良かったんだろう。  次、同じことを頼まれたとき、どうすればいいのか分からなくて、真唯の顔に不安の色が浮かんだ。  そんな真衣の表情に気づき、戸田が言った。 「これを修正してクライアントにメールしたら帰ることができる。三十分程待ってくれたら、秋山の歓迎会をしよう。そのときにこの場合どうすれば良かったのか教えてあげるよ」  真唯は酷く疲れていたが、答えも知りたいので行くことにした。 「よろしくお願いします」  戸田は真唯の承諾を聞いて、間宮にも声をかけた。  間宮は少し躊躇いながらも承諾した。  真唯は初日から社会人のアフターファイブを体験することになった。
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