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「秋山真唯って誰?」
「私です」
「資料、ありがとう」
「いえ、遅くなって申し訳ありません」
「それはいいけど、資料のこことここと、それから次のページのこの部分に拾って来るデータ間違ってたよ。確認した?」
「申し訳ありません。初めてだったんで」
内心、初めての仕事だ、間違っても仕方ないだろうと思った。
戸田が間宮と顔を見合わせた。
「初めてでも、お客さんは許してくれないよ」
真唯は頭を横殴りにひっぱたかれた感じがした。
そう、これは仕事なんだ。自分はもう学生じゃない。
でも、初めての仕事でいったいどうすれば良かったんだろう。
次、同じことを頼まれたとき、どうすればいいのか分からなくて、真唯の顔に不安の色が浮かんだ。
そんな真衣の表情に気づき、戸田が言った。
「これを修正してクライアントにメールしたら帰ることができる。三十分程待ってくれたら、秋山の歓迎会をしよう。そのときにこの場合どうすれば良かったのか教えてあげるよ」
真唯は酷く疲れていたが、答えも知りたいので行くことにした。
「よろしくお願いします」
戸田は真唯の承諾を聞いて、間宮にも声をかけた。
間宮は少し躊躇いながらも承諾した。
真唯は初日から社会人のアフターファイブを体験することになった。
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