6人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ、じゃあ。よ、読むね」
「え?よ、読むの!ここで!?」
手紙……後で読ませるのでは?
わたしだったら渡してすぐにその場から立ち去る。恥ずかしいもの。
なにゆえ朗読?
勇気あるわぁと感心した。
告白……だよな?
やっぱり。
そんな雰囲気だ。
彼がこんなテンパって、口がわちゃわちゃ歪んでるの見たことないもの。
えー、じゃあ、読みますと言って、咳払いを一つする。
「でぃあー。愛しきキミへ」
ぶはっ
「ちょ!ちょっとまてーい!」
「えっ?」
わたしは彼の手紙を取り上げる。
「恥ずかしいわ!」
「お、俺だって!」
「じゃ、なんで読むの!」
「え?よ、読んだほうが、つ、つ、伝わるかなっと、思って」
勇気あるわぁ。
「いま思いついたんだ、アドリブ……」
アドリブかい!
その手紙の文面に目を落とす。
『bear.愛しきキミへ』
ぶはっ、bearって!なんで小文字!
わざわざかっこつけて筆記体っぽく書かれてるけど!
『b』と『d』間違えてる!
最初のコメントを投稿しよう!