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放課後。
誰もいない教室にわたしは、用があるからと言われて待たされている。うちのクラスの男子にだ。
なんとなく、ソワソワしてしまう。
もしかしたら、用って、あれなのかな。それしかないよな。
やっぱり。
それほど仲が良いって訳ではないけれど、おはようの挨拶ぐらいはするし、見た目爽やかな感じ。だし、そんなに意識したことなかったんだけど……
やばい。
意識したらかっこよく思えてきちゃった。
どうしよう。
好きだ。付き合って。って言われたら。
なんて答える?
え?そうなの?わたし?
わたしで、いいんです?
ドッキリとか罰ゲームじゃないんです?
どうしよう。
なんて答えよう。
と思ってすっごくドキドキしっぱなしだ。その男子はまだ現れない。
なんだか遅れてくる宮本武蔵を待つ佐々木小次郎になった気分だ。
…………
違うか。
だいぶ経った。
なにしてるのかしら。
教室の扉が急にガタっと鳴ったので、わたしはひっ!と小さく声を上げて立ち上がった。
見るとわたしを待たせていた例の男子だ。
やっと来た。
後ろ手になにか隠しながら、周りを気にしてる。
そろりと入って扉を閉めた。
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