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急須にティーバッグを入れて来客用の湯飲みにお茶を淹れて持って行く。
「うまい!100年未来の『お茶』が旨いのは帝国国民として冥利に尽きます」
「100年?お茶は私も好きだよ、でもここは『帝国』ではない」
「ない?何と!」
「ぶっちゃけ、戦争に負けちゃったんだ、76年前」
戦メリ君の湯飲みを持つ手が震える。
「でも安心してください、日本人はこの通り、日本人のままです」
「実は自分は……先ほど帝国海軍戦艦大和にて名誉の戦死を遂げたところであります」
マジ?この人、幽霊?
「そういえば76年前の今日だな、大和が轟沈した日、昭和20年4月7日」
「76年?今は何年でありますか?」
「昭和に換算すると96年ってことになるんじゃないかな?」
「換算……ということは、陛下は……」
「昭和は64年1月7日、昭和天皇陛下が崩御されます」
「大変なことをお伺いしてしまった……では今は皇太子殿下が」
「いや、その皇太子殿下のご子息が今上陛下」
「皇太子殿下までも!」
「あの、あなたのおっしゃる皇太子殿下ですが、ご健在ですよ?87歳」
「院政の世でありますか?」
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