4月7日に戦メリ君がやってきた

「大東亜戦争が終わったのは昭和20年、西暦で言うと1945年。76年前だ。今は西暦で言うと2021年、つまり大正10年＝1921年の100年後だ。君は生きていたら100歳で、もし戦死していなかったら今ここに住んでいたのかもしれない。脳と足腰がしっかりしていれば健康だ。実際、数年前に106歳でお亡くなりになった医者がいたんだよ」
「それが『レイワ』の御代でありますか」
「まあそういうことになるけれど、ここは『大日本帝国』ではない」
「よ、よもや米英の一部に？」
「いやアメリカと日本は同盟を結んでいる。イギリスもね。君は日本の最初の鉄道がイギリスから輸入されたことは知っているだろう」
「恥ずかしながら自分は鉄道が好きであります」
「私もそうなんだ……だんだん分かってきたぞ、君がここに来た理由が」
「理由でありますか？」
「つまり奇しくも君は私と同姓同名で、もしかしたらここに住んでいたかもしれなくて、そして君は鉄道が好きだ」
「もしや貴殿は文学部卒ではありますまいか？」
「その通り」
「自分も泰平の世であれば文学士を志しておりました」
「君、頭良さそうだね、帝国大学いけそうだな」