饅頭師匠

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先生と白井さんが帰って来られたのはそれから二時間程してからでした。 私が玄関へとお二人をお迎えに出ましたところ、お二人に着いて一人の男性が入って来られました。 「お客様ですか…」 私は先生の履物を揃えて顔を上げました。 「ああ、富風庵の息子さん、紅基君だ」 私は何処かで見た顔だと思いました。 「ああ、いつもお世話になっております」 私は紅基さんに頭を下げました。 いつも私が行くと吹かしたての饅頭を詰めて下さいます。 先生が富風庵の饅頭が好きな事を知っておられるのです。 もっとも、紅基さんではなく、店主の栢水さんが詰めて下さいますが。
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