饅頭師匠

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三人は食堂へと入られ、希世さんが珈琲の準備を始められました。 良い香りが漂って参ります。 「要君の連載のお祝いに配る紅白饅頭を富風庵で頼んできた」 先生はポケットから煙草を出し、火をつけられました。 「ま、饅頭ですか…。そんな、恥ずかしいですよ…」 私は頭を掻いて俯きます。 「お世話になった人や、ご近所さん。まあ、百もあれば大丈夫だろう」 先生はニコニコと微笑んでそう言われました。 「ひゃ、百です…か…」 白井さんも私の向かいで、ニコニコと笑っておられました。 そして白井さんの横に座る紅基さんの表情を見ました。 その表情は曇っていて、単に饅頭のお礼に来られた訳では無さそうでした。
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