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希世さんが淹れたての珈琲を四人の前に並べておられます。
「まあ、要君がようやく花開いたんだ。それくらいやっても罰は当たるまい」
先生は声を出して笑っておられました。
私は紅白饅頭を近所に配る事を想像すると恥ずかしくてたまりませんでした。
「お祝いには紅白饅頭って昔から決まっています。ここは黙って先生と私にお任せください」
白井さんはそう言って熱そうに珈琲を口にされました。
「ところで、紅基さんは…」
俯いて暗い表情の紅基さんが気になり、私は先生に訊きました。
先生は珈琲を匙で混ぜながら顔を上げられます。
「おお、そうだった。実は紅基君は君に訊きたい事があるらしいんだ」
「わ、私にですか…」
私は驚いたのですが、椅子に座り直し、紅基さんの方を向きました。
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