饅頭師匠

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紅基さんは、ゆっくりと顔を上げられ、私を真っ直ぐに見られます。 そんなに真っ直ぐに見られる事に慣れてない私は、少したじろぎました。 「要さん…。教えて欲しい事があるのです」 私は、紅基さんの言葉に背筋を伸ばしました。 「は、はい。な、何でしょうか…」 紅基さんは湯気の上がる珈琲カップをじっと見つめておられます。そして、 「弟子って何でしょうか…。伝統を受け継ぐって事にどんな価値があるのでしょうか」 そう尋ねられました。 私は慌てて、先生と白井さんの顔を見ました。 勿論助けを求めるためです。 しかしお二人はニコニコと笑っておられるだけで、助けてくれそうな雰囲気ではありませんでした。
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