饅頭師匠

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「じゃあ、要君、これで校閲入れるからね」 白井さんは私の書いた原稿をトントンと揃えると、封筒に入れられました。 私は少し緊張していた表情を隠す事も出来ずに息を飲んでおりました。 「いやあ、要君はちゃんと予定より早く原稿を上げてくれるので助かりますよ」 白井さんはわざと先生に聞こえる様に大きな声で仰います。 先生は煙草を咥えたまま、口を真一文字にしておられます。 私の連載が決まって、初の入稿となりますが、私は勿論の事、先生も少し緊張しておられ、自分の原稿が手に付かない日々を送っておられましたので、今回は余計に白井さんがピリピリしておられます。 「今回は、要君の作品が初めて世に出るんだ。こんなにめでたい事は無い。私の原稿の一つや二つ飛んでも…」 「いけません」 先生の言葉に食い入る様に白井さんは被せておられました。 「良いですか先生」 白井さんは先生の横に滑る様に座られ、先生を覗き込まれました。
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