62人が本棚に入れています
本棚に追加
「 2章・6 」初戦果
ゴーストによって、攻撃と特性は変わる。襲って来たゴーストは、相手のパワーを吸い取りダウンさせるようだ。エレンが懸命に防御。
「駄目だわ、私の魔法では防ぎきれません!」
エレンの魔力で仲間を守るシールドをゴーストは壊していく。エドワードは、自分が盾になって剣をふるうが相手にならない。エリザベスを呼んだ。
「リズ、僕の援護を頼む。皆は、その間に逃げるんだ!」
あまりにも数が多過ぎて処理できないのだ。安全な場所に誘導しようとするガブリエル。
襲って来るゴーストにスザンヌは、悲鳴を上げながら逃げる。だけど、気がついた。スザンヌに飛び付いたゴーストが、消滅していくのを。
どうしてなの、何が起こってるの?試しに手を出してみた。掴んだゴーストが煙になって消えるではないか。スザンヌは、口を開いた。
「あの、大丈夫だと・・思うんだけど。これ。」
逃げて来た勇者たちがバタバタと倒されていくのに、何が大丈夫なのか。と、必死の形相で振り向いたメンバー達は呆気にとられてしまう。
パシュッ、パシュッ、パシュッー。
戦っているエドワードを他所に、ゴーストを振り払っている少女。触れたゴーストは、一瞬で消え去って行く。気がついたゴーストは、今度は逃げ出し始めたのだ。
何と、少女が触れるとゴーストの魔力が吸いとられてしまう。ゴーストにとって、こんな恐ろしい事は無い。
キエーー、キエーー、シュッシュッーー。
エドワードが、たまらずに笑い出した。そして、腹を抱えて笑い転げる。
「たまんねー、面白すぎる。魔除けスザンヌ、最高ーー!アハハ、アハハハハハ!」
無傷の勝者スザンヌは、自分が勝ったという意識も無く立っていた。
あっという間に、噂は広がった。変わった防御力を持った聖女見習いの勇者の事だ。逃げて来た勇者が喋り回ったらしい。
ギルドのリクエストコーナーに、スザンヌへの協力依頼が幾つも入ったと知らせが来たくらいに話題の主だ。
「これが、戦利品です。花瓶に入れて下さい。」
見舞いに来たスザンヌのお土産にジュリアンは喜んだ。
ギャー、ギャー、(鳥冠モンスター草の鳴き声)
「これが、話に聞いていた「鳥冠」モンスター草ですか。見たかったんです、ありがとう。」
嬉しそうな様子に、スザンヌは嬉しくなる。こんな事くらいしか出来ないけど。執事が山盛りの品物を運んで来た。
「では、お嬢様。これに触って下さいませ。」
タオルにハンカチにパジャマにピロケースに食器などなど。こんな物に触っただけで何の役に立つのか。疑問だけど、執事もジュリアンも喜ぶのでやる。
(お年寄りには、優しくしないと。お母さんに叱られるから。)
言われるままに、何でもやります。魔除けにして。
呪われているというエバンス公爵家には、アグアニエベがスザンヌを連れて行く。
そして、帰った後は1時間の間を自分の部屋で過ごして隔離するというお約束。
それは、アンジェリカからの指示だった。それほど、呪いは強いらしい。
「夜の魔法学校」
スザンヌは、教師のパトリシアに直訴してみた。
「私、ダンジョンの依頼を受けたいんです!」
ダンジョンでの実績から、試してみたくなるのは当たり前。パトリシアは、やっぱりという顔になる。
「スザンヌさんのお家は、貧乏男爵なんでちゅねえ。パトリシアも同じだから分かりましゅ。稼ぎたいんでちゅう。」
「はーい、そうなんだもん。お母さんを楽にさせてあげたいから。前は私が食堂に働いてたから、余った食事ももらってたし。」
「でも、防御だけだと危ないでし!」
「でも、お化け相手だから。ねっ?お願い!」
「ふう、仕方ないでしゅう。」
と、許可が出ました。聖女見習いの防御以外の能力なし。無事に帰って来れるのか?
最初のコメントを投稿しよう!