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「 1章・2 」婚約
友達のお姉さんの結婚式の披露宴でブーケを手に入れたのは、スザンヌ・カーター。17歳の夢見てる年頃。
友達がブーケを欲しがってるから、余計に嬉しい。
「私に譲ってよ。あなた、彼氏もいないじゃない。」
「そうよ。ブーケを受け取ったら結婚出来るって本当か分からないし。」
いいのよ、嘘でも。ボンビー男爵家に生まれちゃったんだから、御守りに持って帰るわよ!
披露宴の帰りに転んでるお年寄りに遭遇。直ぐに起こしてあげる。知らない男に襲われて財布を盗られたというので交番へ。
神さま、善い事してます。だから、素敵な人と結婚させて下さい。お父さんみたいな無駄遣いしない人と!!(特に願う)
月曜日から金曜日までを町の食堂で働いて、土日は港の屋台でバイト。これが、2年も続いてる。
「なあ、スーちゃん。正社員にならないか。安定した方がいいだろ?」
食堂の爺ちゃん店長(オーナー)が契約変更を誘うけど、思案中。うちの事情があるから悩む。入って来た客に愛想で笑顔。
前は出来なかったけど、ここで働きながら覚えたんだ。笑ってなくても笑顔は造れるって。
愛想笑いは出来るようにはなったけど、スミレ色の瞳は感情が出てしまう。
イラッとしたりすると赤みが増すの。怒らせると目が赤くなって黒髪の魔女みたいだって兄弟には言われてる。魔力は無いのに。
「いらっしゃいませ、ご注文は?今日のお得メニューは、プテラノドン肉玉お好み焼きと高菜ご飯のセットよ。」
「そうだな、婚約を頼む。」
「はーい、コンニャクね。コンニャク?」
「スザンヌ・カーター男爵令嬢、婚約が決まりました。僕とね。」
スージーは、固まった。頭の中を回ってる、「婚約」という言葉が。冗談でも止めて欲しい
。
でも、どうして、この男の人は私が男爵令嬢というのを知っているの?
「あの、そいう冗談は止めて。怒るわ!」
「本当です。お父さんと契約しましたから!」
お父さん・・と聞こえた途端に、スザンヌは固まった。危ないキーワードは、そいつ。
そうだ、娘だろうと金で売りそな奴です。念のため、聞いておこう。
「あのさ、もしかして、もしかしたら、そうだと思うけど。」
「はいはい。」
「契約って、親父は金を受け取ったって事かしら?(違うって言ってくれ!)」
「はい、受け取りました!」
その素直な御返事に、スザンヌの世界が壊れた。ガラガラと音を立てて。
何時かは、やると思ってたわよ。借金ばかり作ってて、家には売る物が無くなかったし。あのクソ親父、●●してやるーーっ!!
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