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「 1章・5 」お食事から
1日で、スザンヌの夢は変わった。お姫様みたいな上げ膳据え膳の生活がしたいと思ってたが、もうお断りです。
(ぶーーっ。全身がヒリヒリ~~してるう。痛いよー(泣)人の身体を鍋みたいに磨くんだものー!)
いいってのに、着てたスカートを剥ぎ取られ下着も剥かれた。力まかせに、ゴシゴシやられた。2人のメイドの力の強いこと強いこと。男なんじゃないの?
絶対、喧嘩したら負ける。もう、やられっぱなし。何を着せられたのかも分からない。頭がボーとして。
時間に執事が迎えに来てお食事の部屋へ連れられて行ったけど、足が痛い(新しい靴)。
息が苦しい(コルセット)。身体中がヒリヒリ(こすられて)。
(かさばるドレスで足がモツレルよー。お母さん、何も持ってかなくて良かったみたい。見た事ない品物が揃えてあったから。色々と付けられて動きにくいったら!)
ムクレながら部屋に入ると、長ーーーいテーブルの端に、あの白髪のお爺さんが座っていた。
スザンヌを見ると飼い犬が主人を見つけたみたいに口を開けて大喜び(尻尾が見えたら振っている)
「えへへへへっー。」
笑うな、気持ち悪い!
「スザンヌさんと、お食事なんて夢みたいだ。」
こらこら、涙を流すな。そんな事くらいで感動する?
町の平民中学部に通ってる弟だったら、人気のグループアイドルのセンターに夢中だから。その子と食事なんてなったら大はしゃぎだと思うけど。
あんたにとって、私はアイドルなの?じゃ、らしくらしく。
「嬉しいわ、喜んで下さって。楽しんでね(ファンサービス)」
ニコッとアイドルスマイル。効果抜群みたいで、顔を真っ赤にしてるわ。
「じゃ、じゃ、食べてみます!」
まるで、高飛び込みするみたいな掛け声。そして、震える手で料理を1口だけ口に運ぶ。
パックンーー。
そして、固まった。喉に詰まらせたのかと思ったら、ニッコリする。心配するじゃんか!
「あ、食べられる。嬉しいー!」
本当に嬉しそうな顔をした。口に入れただけで、そんなに喜ぶ?
パチパチパチパチーー!
見守っていた召し使いから沸き起こる拍手。スザンヌは、戸惑って見回した。泣いている者も居る。食べただけで感動するのね。
「はあ、お腹いっぱいで眠いや。スザンヌさん、失礼しますよ。」
出されるコース料理を全て1口だけ食べて令息は、立ち上がる。そして、1歩。足を踏み出しただけでブッ倒れた。
うひゃー、お爺さんがぶっ倒れた!驚いて、スザンヌは駆け寄ったのだが。
グーグースーピーー。
何、寝てるの?まー、完全熟睡だわ。執事が驚いているスザンヌに言った。
「お嬢様、大丈夫でございます。何時もの事ですので。」
執事がスザンヌを押し留めて令息を召し使い達が運んで行くのだった。何時もの事?
「旦那様は、お休みになられます。ごゆっくり、お食事されますように。」
それは、無い。目の前で相手が倒れたのに、1人で食事しろと言われても。なんだか、居心地の悪い気分で口に料理を押し込んで後味の悪いディナーだった。
召し使いから沸き起こる拍手が起こるのね。食べただけで感動するのが習慣なのなら、私もやるわよ。
パクンーー。
あら、何も起こらないわ。誰も拍手しないし、どうなってんの?あー、私は違うんだ。ご主人様だけって事。つまんないっ!
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