きゃーましてっこど

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 俺はこっそりため息をついた。今のはコピー機を案内すればよかったのか。やはりまだ接客は慣れない。平日の午前中、利用者は少ない。でもその分、ちょっと厄介な問い合わせがあったりする。例えば今のような。  梅津さんが戻ってくるまで面倒くさい人が来ませんようにと祈る。カウンターの後ろのブックトラックから、返却処理済みの本、10冊を持ち上げる。有人カウンター2つ分と、自動貸し出し機の裏を通過して、コピー機の向かいにある「返却棚」にたどり着いた。  坂本さんたちが、そろそろとこちらに向かってくるのが見える。梅津さんと目が合う。にこっと笑ってくれる。俺は会釈を返して、返却棚に向き合った。  ここに置いておけば、フロア担当の人が本を返しに行ってくれることになっている。今日は平日だから棚がスカスカだ。フロア担当も暇なのか、事務室で本の修理を行っている。俺は研修で習った通り、分類番号順に左上から並べていく。坂本さんのコピーが終わる頃合いを見計らうために、わざとゆっくり本を差す。
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