きゃーましてっこど

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 1類が心理学、占い系。9類が小説系。マンガと料理・手芸関係の本は児童書コーナーの近くに別置してある。受け入れてから1年以内の本は新刊コーナーに。  なんとなく覚えたのがそれくらいだ。ちゃんと覚えた方がいいんだろうけど、棚の側面に分類番号は書いてあるし、今くらいで充分な気もしている。  持ってきた本を全部棚に並べ終わった時、坂本さんの声が聞こえた。 「10円こ、全部()ぐなったじゃ」  と財布をしまいながら笑っている。 「じゃあコピー取るからね。これ書いで」  梅津さんが複写申請用の紙を差し出して、コピー機の蓋を開ける。坂本さんは近くのテーブルに行き、メガネケースを取り出した。梅津さんが雑誌をコピー機に挟み込む。本に厚みがあり、蓋が浮いているから、光の帯が横に動いていくのが見える。  俺はそこまで見届けてから、カウンターに戻った。  しばらくして坂本さんの「おしょうしなっし」が聞こえたので、終わったのだと分かった。 「いやー、助かった。梅津さん、おしょうしな」  梅津さんと共に戻ってきた坂本さんは、とても嬉しそうだ。 「段差、気ぃつけてな」  梅津さんが後ろ姿に声をかけると、坂本さんは「はぁい」と笑って、エレベーターに乗り込んでいった。
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