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「あの。ありがとうございました」
俺が頭を下げると、梅津さんは一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「いいんだよ。まだ分がんねことばっかりでしょう?」
梅津さんは「優しいお母さん」って感じで、利用者からも職員からも頼りにされている。俺と同じく非正規雇用の職員なのだが、司書資格を持っていて、かなり仕事ができる。
「分からないことといえば、2つ聞きたいことがあります」
「ん? なに?」
梅津さんはカウンターの中に入ってきて、俺の右隣に立った。
「『おしょうしな』って、ありがとうっていう意味ですよね?」
「んだよ」
「『おしょうしな』と『おしょうしなっし』って何が違うんですか?」
「ああ。語尾の『し』って米沢弁では敬語なの。だから、『おしょうしな』よりも丁寧な言い方ってこと」
「へえ! 勉強になります」
「もう1つは?」
「あー。坂本さんが言ってた、何でしたっけ? きゃーなんとか?」
「きゃーます?」
「それです。それってどういう意味なんですか?」
「んー。『調子に乗ってる』って意味かな。『ちゃいちゃいってる』も似たような意味だけど、どっちも通じねよね?」
俺が頷くと、梅津さんは苦笑して右上を見た。
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