再会

11/14

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
泣きそうな彼女を見つめながら、黙って話を聞いていく。 前に彼女は言っていた。 独りの時じゃないと泣けないんだと。 シングルマザーになる少し前から、泣きたい時に泣けなくなったと言っていた。 話し終わった彼女を抱き締めた。 そして、頭を撫でながら、 『泣いて良いんですよ。泣きたい時には、泣いても良いんです。』 何度か頭を撫でてる内に、彼女は静かに泣き始めました。 少しホッとする。 泣くのは、悪い事では無いから。 暫く泣いていた彼女。 相当、辛かったんだろうなと思う。 俺は、意を決した。 泣き止んだ彼女の手を取りながら、 『俺と付き合ってもらえませんか?』 と、彼女に伝えた。 彼女は、びっくりし、少しパニックになってしまったみたいだ。 『え?えっと····。え?和多志と付き合う?』 と、彼女。 俺は、笑顔を彼女に向けながら、もう一度伝える。 『そうですよ。貴女が大好きですから、俺と付き合って下さい。』 と。 彼女は、目を泳がせ、信じられないって感じの顔をしている。 そして、 『えっと····。んと····。和多志と付き合う····?和多志で良いんですか?』 と、しどろもどろになりながらも、聞いてきた。 『貴女が、良いんです。貴女じゃないと、駄目なんです。』 と、俺は答えた。 彼女は、俯いた。 まだ信じられないんだろう。 それでも、ちゃんと答えようと考えているのがわかる。 彼女は、俯いたまま、自分の髪を触りつつ、 『はい。よろしくお願いします。』 と、恥ずかしそうに答えてくれた。 俺は、嬉しさの余り、彼女を抱き締め、 『ありがとうございます。』 と、伝えた。 彼女の頭を撫でながら、喜びを噛みしめる。 そして、彼女に、貴女と初めて会った時から好きなんですよと言うのも伝えた。 俺の腕の中に居る彼女は、 『え?!え?!』 と、またパニックになっていた。 落ち着かせる様に、彼女の背中を擦る。 落ち着いた彼女を腕の中から開放した。 手を繋ぎ、他愛無い話をしながら、車へ向かった。 もうそろそろ帰る時間だ。 彼女の家へと車を走らせる。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加