5人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
今日は、新規の相談者さんが来る日だ。
相談の為の予約電話は、女性の方だったな。
どんな相談なんだろう。
そう思いつつ、境内を掃除する。
そうしてる内に、誰かが、寺の門をくぐって来た。
もしかしたら、新規の相談者さんかもしれないなと思い、掃除を止めて、門の方へ向かう。
女性の方だ。
女性は、俺に氣が付いて、
『こんにちは。予約していた○○です。』
と、言い、頭を下げた。
その女性をしっかり見た時に、俺に衝撃が走った。
その衝撃は、時間にしたら一瞬だっただろう。
でも、俺にしたら長い時間に感じた。
できるだけ、その衝撃を俺の中に押し込め、その女性に、できるだけの平静を装って、何時もの様に、
『こんにちは。どうぞこちらへ。』
と、声をかけ、本堂に案内をする。
『こちらで少しお待ち下さい。』
と、声をかけて、女性から離れた。
相談を受ける身支度をしながら、俺は思っていた。
「彼女だ。前世の妻だった彼女だ。約束通り、やっと会えた。」
と。
喜びの氣持ちでいっぱいだが、今、彼女は、相談者だ。
何時もの様に、相談者と向き合わなければ。
そう思いつつ、身支度を終え、彼女の所へ向かう。
最初のコメントを投稿しよう!