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彼女は、自分のバッグとは、別の何かの袋を持っていた。
『お待たせしました。その持っている物は、何ですか?』
と、何時もの様に相談事とは別の話をし、相談者さんの緊張を解す様にしている。
彼女は、
『お土産です。』
と、笑顔で、その持っている物を渡してくれた。
お礼を言い、受け取る。
他愛無い話をし、緊張が解れた頃に、どういった相談なのかを聞いていく。
彼女は、シングルマザーで、子供の事の相談で、ここを訪れた様だ。
相談についてのアドバイスをしたりしながら、時々、軽く俺のプライベートな話や仏教の話をする。
彼女からパートナーが、彼氏が居る事を教えてくれた。
彼女にパートナーが居る事にショックを受けたが、顔に出さない様に、心の奥に押し込める。
彼女と話している内に、彼女は、前世の記憶を持っていないという事がわかっていった。
そして、いつもこの寺を訪れた相談者さんには、メッセージアプリのID交換を申し出て、了承した方のみ登録する様にしているので、彼女にもそう伝え、了承を得て登録する事ができた。
電話だと出られない事が多い為、この寺を訪れた相談者さんが、その後、新しい相談事ができた時等々の為にそうしている。
彼女と話している内に、共通の趣味がある事がわかった。
俺と同じ様に、写真が好きと言うのがわかり、彼女はどこに撮影しに行くかを聞いたりした。
そして、
『こちらに来た時は、和多志が、案内しますよ。』
と、彼女は、笑顔で言ってくれた。
だから、
『その時は、ぜひ、お願いします。』
と、答えた。
あっと言う間に時間が過ぎていき、
『良い写真、撮影できたら送って下さい。』
と、帰る彼女に伝えた。
『わかりました。』
と、返事をして、彼女は、帰って行った。
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