96人が本棚に入れています
本棚に追加
就職した彼から
連絡が少し減り始めた五月、
「今年の休みも尾瀬がいいなあ」
聞こえないふりの彼の横顔。
なんの連絡も無くなった夏、
確認するまでもなく
街で見かけた彼の隣に
スラリと背の高い綺麗な女性。
目も合わさずに
すれ違った彼と彼女、
雑踏での最終場。
駅のピアノに乗せて
追憶から覚めたころ、
「遅れてごめん」
女に駆け寄ってきたのは
彼女の夫。
夫は先月からこの街に単身赴任。
あれから少しまた恋をして
この優しい夫と結婚。
でも、こうして・・・
不意に思い出は彼女の耳に
メロディと共に去来する。
🎵 遥かな尾瀬 遠い空 🎵
ー 第三曲 幕 ー
最初のコメントを投稿しよう!