96人が本棚に入れています
本棚に追加
教室から見える港を
背景に肩を寄せ合い…
安いオムライスとコーヒーが
御馳走だった夕暮れの学生街。
狭いアパートのアチコチに
毬江の物が一つ一つ増えた蜜月。
“探り合い”ながら
飽くことなく毬江を貪れば…
永遠に続くと思われた朝焼けが、
僕達のブランケット。
「卒業したら結婚しよう!」
堅く結んだ指を
涙で濡らしていた毬江。
でも・・・・・・・・・
約束は叶わなかった。
あと一年で卒業出来たはずが
病身の父親が死んで
妹や弟達のために退学した毬江。
就職活動で東京の実家へ
戻ることの多かった僕。
東京で就職しても
時間の限りを努力した遠距離恋愛。
彼女を守りきれると
僕は信じていたけれど…
半年ほどして
毬江から来た手紙には
『思い出にしましょう』
・・・・・・・・一行だけ。
最初のコメントを投稿しよう!