第六曲 六甲おろし

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汗をかいたのはこちらだ、 (なんでこんなに若い?!  どう見ても三十…あ!!) 毬江の娘だと気づいた。 「ラ、ラーメンを…」 上擦る声に…毬江を こっそりさり気なく 探す自分に動悸をさせる…。 「おまたせしましたあ」 やはり娘さんが運んで… 熱いせいか…おかしな汗がまた…。 食べ終わってしまうが…  「あの、お母さんは?」 なんて簡単に尋ねるような 性分でない自分に諦め、 すごすごと勘定して店を出た。 (まったく…何をしに   こんなとこまできたのやら…) 首を垂れた時だった。 「長沼くん!長沼くんでしょ?!」  
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