第七曲 ムーン・リバー

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北島早穂子(きたじまさほこ)と僕が 別れることになったのは五年前、 娘が中学生になった春だった。 娘が小学校へ上がってすぐ、 妻は事故死、たまたま 隣に兄夫婦や両親が住んでいた ことが幸いして、どうにか 娘を育てて数年した頃、 得意先で出逢ったのが早穂子。 僕は四十になったばかりで 早穂子は三つ下。 交際下手、ことに 女性扱いを苦手とする僕が、 妻以外に気心を許せた早穂子は、 早くに母親を亡くし、 四人弟妹の長女として、 家庭の要となり、婚期を 逃していた優しい女だった。 そんな彼女を 手に汗握る思いで やっと誘った初めてのデートは、 ホテルのラウンジでの ディナーシアター。 映像の古い街並みに流れる音楽は     『ムーン・リバー』
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