第七曲 ムーン・リバー

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職場でもよく気が利いて、 そのくせ控え目な性格は   重宝されていた。でも、   なによりも僕が、 早穂子に惹かれたのは、 美しい黒髪の似合う 日本人形のような面差しと、 心和ませてくれる笑顔だった。 仕事に詰まったとき… 子育てに詰まったとき… 余計なことは何一つ言わずに 話を聞いて微笑んでくれた早穂子。 彼女の涙を見たのは ただの一度きり。 ……初めての夜、  「結婚しよう」 そう僕が言ったときの 早穂子の涙は、今も深く 354915ff-301c-4755-a8f6-2811142c1b91      胸に焼きついている。
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