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職場でもよく気が利いて、
そのくせ控え目な性格は
重宝されていた。でも、
なによりも僕が、
早穂子に惹かれたのは、
美しい黒髪の似合う
日本人形のような面差しと、
心和ませてくれる笑顔だった。
仕事に詰まったとき…
子育てに詰まったとき…
余計なことは何一つ言わずに
話を聞いて微笑んでくれた早穂子。
彼女の涙を見たのは
ただの一度きり。
……初めての夜、
「結婚しよう」
そう僕が言ったときの
早穂子の涙は、今も深く
胸に焼きついている。
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