第一曲  昔 の ひ と

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新しい世の中になってから 彼女は街へ働きに・・・。 勤め先への乗り換えの 駅で見かけたピアノが一台。 何故だか座って弾いてみた 思い出の曲は彼の声・・・。  「いい天気だね」  「夕べの月が綺麗だったわ」 語り合うように 抱きあうように 毎朝、毎夕、彼女は ここで彼とむかしを奏でゆく。 真面目で器量よしの彼女だから 山ほどの縁談はあったけど 彼女の想いは、満ちることない ・・・遠浅の浜辺、 年老いて、独り生きても 共に唄うは・・・“昔のひと”。       🎵 あした 浜辺を さまよえば     昔の人ぞ 偲ばるる     風の音 波の音よ     寄する波も 貝の色も 🎵         ー 第一曲 幕 ー
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