96人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
新しい世の中になってから
彼女は街へ働きに・・・。
勤め先への乗り換えの
駅で見かけたピアノが一台。
何故だか座って弾いてみた
思い出の曲は彼の声・・・。
「いい天気だね」
「夕べの月が綺麗だったわ」
語り合うように
抱きあうように
毎朝、毎夕、彼女は
ここで彼とむかしを奏でゆく。
真面目で器量よしの彼女だから
山ほどの縁談はあったけど
彼女の想いは、満ちることない
・・・遠浅の浜辺、
年老いて、独り生きても
共に唄うは・・・“昔のひと”。
🎵 あした 浜辺を さまよえば
昔の人ぞ 偲ばるる
風の音 波の音よ
寄する波も 貝の色も 🎵
ー 第一曲 幕 ー
最初のコメントを投稿しよう!