街角ピアノ

第七曲 ムーン・リバー

早穂子から返信はなかったと

娘は言ってたから

（早穂子には“過去”になっている）

…胸の一部分では落胆。

それでも僕は

別れたあの日、あの時間、

あの場所へと急いだ。

（僕には過去じゃないんだ！）

僕は早穂子に逢いたかった、

死んだ妻に詫びたいくらい、

娘に泣いてすがればよかったと

情けないことを考えるくらいに

早穂子が好きで好きで…

好きでたまらなかったのだ。