しょうがないでしょう

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そんなことを考えながら眠る支度をしていると、浮腫み取りマッサージを終えた宇田が駆け寄ってきた。長い髪から清潔な香りがふわっと流れてくる。 「ん?」 「今日は由鶴のベッドで寝てもいい?!」 「誕生日だから?」 「結婚記念日だから!」 基本的に俺は宇田を自分の寝室に入れない。上司を寝室に入れることに抵抗がないわけではないのと、こう、自分なりの線引きだ。 でも、これからは上司っていうより、奥さんになる。 思わず俺は笑ってしまった。 「いいよ、枕持っておいで」 さらりと長い彼女の髪を俺の指で梳いてみると、彼女は気持ちよさそうに目を閉じた。俺よりもはるかに猫っぽい。 俺の許可を得た宇田は嬉しそうに頷いて、普段ソファベッドにクッションとして置いているふかふかの枕を取りに行った。これが普段の彼女の寝具だ。 あのね、こんなリビングに寝かせるなんて冷たいとか思うかもしれないけど、俺はソファをソファベッドに買い替えたし、枕にもなるクッションも買ってあげてるの。だいたい、ここは俺の家だからね。 俺の寝室は、想像通りに殺風景だ。宇田がいると、なんだか少しだけ華やぐ気がした。
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