しょうがないでしょう

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両手を重ねて頭の下に挟んだ横向きの宇田と、肩肘をついた姿勢で向かい合わせになる。ダブルサイズのベッドは狭くないけど、ふたりだと広々っていうわけにはいかない。 「由鶴、もう寝る?」 「オマエの気が済むまで付き合うよ」 「じゃあ、お話してもいい?これからのこととか!」 ふたりで被った布団は、チェック柄のブランケットだ。まだウールを使ってるけど、そろそろタオル地に替えようかな。梅雨が明けたら夏仕様に模様替えしよう。カーペットも買い替えたい。 こうやってふたりで眠るなら、ひとりのときとは湿度や温度も変わってくる。 握った手の中にある小さな貴金属だけが、ひんやりと冷たい。 「ねえ、提案なんだけど、」 俺は肩肘をついているせいで少しだけ見下ろす位置から、宇田と目を合わせて言った。 宇田のリクエストによるアロマキャンドルの明かりだけが優しく灯されている。オレンジに染まったノーメイクな宇田の顔は、放課後の生徒会室を彷彿させる。 どんな思い出にも宇田がいる。嫌な記憶も、楽しかったあの時も。宇田がいないと、俺には何にも残らない。 「オマエ、明日ここに引っ越してきなよ」 そう言った俺に、宇田は嬉しそうに目を輝かせた。分かりやすくて可愛い。もしこれが、演技だったとしても可愛い。
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