ノスタルジック・ファンタジー2 軍師グラフマ・ブラグマ

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        王都グリタリアの異変  深淵。永遠に続く暗黒。軍師グラフマ・ブラグマに率いられた王都親衛隊は先程から、何度も同じ場所を歩いていた。いや、歩かされていた。  そんなばかな事があるはずがなかった。 王都グリタリアの城の中、真っ昼間の出来事だ。あたりが突然暗くなったかと思うと、突然見たことも無いような、暗く、そして広い井戸の底の様な場所にいた。歩いても、歩いても同じ場所にたどり着く。 そこを、その角を曲がると王の待つ兵閲の間があるはずだ。先程から、曲がり角を曲がってくる度に何度そう思ってきた事だろう。  おかしい。屈強な親衛隊数十騎を後ろに従え、妖術、魔術の心得も多少は持っている賢者として名高い自分だ。それが、この賢者ブラグマ。その私が。おかしい。この様なまやかしの類の一つや二つ見破ることが出来ないなどと。しかもここは、屈強な衛兵、魔導師群に警護された王城のど真ん中ではないか。  軍師グラフマは焦っていた。ワシが、このワシが焦っては部下どもに示しがつかぬ。このワシに見破れぬ魔道等皆無じゃ。ブラグマは自身に言い聞かせ続けていた。この無限回廊で自分自身を見失わないために。
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